ホームページ   MZL control amplifier CA-1 工作メニュー

概要

 カレントフィードバック技術を用いた自作コントロールアンプです。 色々と凝った作りにしたり、IA-V2を優先するために保留したりした関係で、 完成には約3年半かかりました。DCサーボ以外をディスクリートで 構成したメインバッファ、OPアンプ+トランジスタ構成のトラッキング レギュレータ、テープバッファ2系統等、充実した内容になっています。 現在のところ、専らヘッドホンアンプとして使用しています。
フロントパネル

 フロントパネルはブラックのヘアラインアルマイトパネルに、シルバーの ノブを組み合わせたデザインになっています。糸鋸を使用して大きな円を 切り出すのが結構苦労しました。ケースとは二液タイプのエポキシ接着剤で 固定しています。レタリングはインスタントレタリングを使用しています。 剥離を防止するためのコーティングは、ヘアラインの質感を保つため使用を 見送りました。

 パネルはタカチ製2mm厚、ケースはLEAD製、電源スイッチはミヤマ、ノブは 右端のインプットセレクターのみサトーパーツ製で、他はLEXのものを使用しています。 気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、このデザイン某S社の昔の高級アンプの 模倣になっています。最初は気軽な計画だったので、安易に模倣したのですが、 今となってはもう少しオリジナリティーのあるデザインをすべきだったと多少 後悔しています。
リアパネル

 リアパネルには多数のRCAジャックがずらりと並んでいます。 なるべくずれがないように気を配って作ってあります。RCAジャックは 若松で入手したものです。その他は電源の3Pインレット、金メッキGND端子、 ヒューズホルダが取り付けられています。
メインバッファ

 DCサーボ以外は全てディスクリート、16石の半導体で構成しています。 本機で採用したカレントフィードバックアンプは従来までの電圧帰還アンプと比べ、 高スリューレートが実現しやすく、クローズドループゲインを大きくとっても 周波数帯域が低下しにくいという利点を持っています。これ生かし、ビデオ回路等の 高速動作が要求されるアプリケーションで近年多く使用されています。 オーディオ用としてもアキュフェーズやマランツなどが製品に応用しています。 欠点として直流精度が悪いという点があり、これを補うために本機では 高精度BI-FET入力OPアンプ、LF412を使用したDCサーボ回路を組み合わせる 事によって、高速性能と直流性能の両立を図りました。

 小信号用トランジスタは東芝製ローノイズトランジスタである、2SA1316と2SC3329の コンプリメンタリペアを、VBE、HFEのマッチングを取って(気休め程度?)使用しています。 ちなみに選別は自作の治具(ここの 一番下に記載)で行いました。入力バッファのひずみ、ノイズ等は出力に影響しますので、 C7,C8のOSコンデンサ、C2の積層セラミックコンデンサで十分デカップリングしてあります。 出力バッファはC5を付加する事で、スイッチング特性の改善を狙っています。Q15とQ16の バイアスがR16とR17で与えられていますが、出力振幅でバイアスが大きく変動する可能性が 大きいのでダイオード等を使用したほうが良いと思います。
テープバッファ1

 こちらもDCサーボ以外は全てディスクリート構成です。72mm*95mmの基板に 2回路収めるために回路を簡略化しました。しかし入力バッファを簡略化しすぎて、 電源ノイズをもろに受ける回路にしてしまいました。本機ではレギュレータで 安定化された電源を使用しているので、聴覚上問題ないレベルになったので、 このままとしました。
テープバッファ2

 テープバッファ2はOPアンプICのみで簡単に済ましてあります。 使用OPアンプICは新日本無線のローノイズオーディオ向けOPアンプIC NJM2114を 使用しています。
フォノイコライザ

 フォノイコライザはMMカートリッジのみ対応となっています。 回路として特徴としては、DCサーボ回路を搭載し直結としてあることです。 他は一般的なRIAAイコライザです。使用OPアンプICはテープバッファ2と同じく、 NJM2114を使用しています。
電源回路(変圧・整流・平滑部)

 ノイズ対策としてコモンモードチョークコイル、スパークキラーを使用。 電源スイッチは安全のため両切りとしました。トランスはノグチトランスの カットコアPMC1805Wです。ダイオードは富士電機のショットキーバリアダイオード ERA84-009、電解コンデンサは東信工業の低ESR品です。もうちょっと大きめの容量と したかったのですが、実装面積上これが限界でした。
レギュレータ1

 メインバッファ用のトラッキングレギュレータで、OPアンプとトランジスタ等で 構成されています。基準電圧としてナショナルセミコンダクタ(以下NS)のLM336を使用 し、RCフィルタによってノイズを減衰させています。OPアンプはNSのLF356です。 パストランジスタは東芝の2SA1887と2SC5000です。同じようなトランジスタは いくつかありますが、キリがいい数字だったのでこれにしました。

 問題として低温時に電源を投入すると、マイナス側が数ヘルツ程度の低周波で 発振してしまう事があります。電源を入れて1分程度で安定状態に復帰するので 今のところ放置していますが、出来れば対策したいところです。出力の電流制限は 約400mA程度です。このレギュレータの設計にはCQ出版の「作りながら学ぶ エレクトロニクス測定器」という書籍が非常に参考になりました。ただ残念ながら 絶版になってしまったようです。
レギュレータ2,LED駆動回路

 右の回路がメインバッファ以外のためのレギュレータです。NSの LM317とLM337という可変電圧のレギュレータICを使用しました。 簡単に正負電源を作ることが可能です。性能を引き出す手法が データシートに記載されているので、参考にさせてもらいました。

 左の回路はLEDの定電流駆動回路です。
使用パーツ
 抵抗類は基本的に低雑音な金属皮膜抵抗を使用しています。コンデンサは OSコンデンサ(メインバッファの一部)低ESR電解コンデンサ、銅箔巻き スチロールコンデンサ(メインバッファ位相補償、入力フィルタ)、温度補償セラミック、 マイラコンデンサ等を使用しました。
内部コンストラクション

 アルミシャフトを介してケース後方に設けられたスイッチ、ボリュームを回す ような仕組みになっています。電源トランスと、各スイッチ、回路部分は一応 アルミのシールド板を使用しています。本来なら、ダイオードのスイッチング ノイズ等を遮断するため、電源回路と増幅回路の間にシールド板を配置する方が 良いようです。また、トランスの磁束は、この程度のアルミ板では防げないので あまり意味が無いようです。それにしてもスイッチ周りの配線が多くて、苦労しました。

工作のメニュー   ホーム
'08/01/07:アップロード