一般的な回路では、正負電源を使って回路を構成しますが、今回は単電源で動作できる回路を設計しました。これにより回路を簡略化することが可能となりました。
・整流平滑回路:小型のブリッジダイオードDB1で整流された電圧を電解コンデンサC1,C2で平滑しています。
・13Vレギュレータ:OPアンプ(U3)の耐圧が低いため、入力変動で耐圧を越えないよう、この回路を追加しました。12V出力のLDOのGNDにダイオード2本を入れて出力電圧を上げています。この方法はダイオードの温度特性がLDOの温度特性に加わるため、全体の温度特性が悪くなりますが、今回の用途ではあまり問題にならない部分です。
基準電圧回路もこの出力で動かす事で、ラインレギュレーションとリップルリジェクション改善が見込めます。
・基準電圧回路:基準電圧IC U2の出力電圧を分圧し、C5でフィルタリングして基準電圧のノイズを減衰させています。C5が大きいほうがフィルタリング効果は高いですが、出力のセトリングが長くなり使いづらいのでこの程度としています。
SW2が1V/10Vのレンジ切り替えスイッチです。VR1とVR2は、誤差を補正のするための、フルスケール調整用です。VR3はフロントパネルに出ている10回転ヘリカルポテンショメータです。
・安定化電源回路:OPアンプU3がQ1,Q2のダーリントンで構成されるパストランジスタを駆動する一般的な回路です。フルスイング出力が可能なOPアンプにより、入出力電圧差が低くても動作可能にしてあります。
Q3,R11は過電流保護回路で過電流によりR11両端の電位差が増加するとQ3がオンし、Q2のベース電流を絞ります。これも定石回路です。
・フィードバック回路:R12~R15。普通の抵抗分圧ですが、同じ抵抗値を使う事で、温度特性の影響を抑えるようにしています。
・放電回路:出力に1000uFのコンデンサがあるため、負荷電流が少ない場合、設定の出力に下げる場合に時間がかかります。本機では定電流ダイオードD5により10mAのバイアス電流を流しています。
・アブノーマル保護:出力の逆接続や外部からの電圧印加などに備え、保護ダイオードD4,D6(一般整流用)とポリスイッチPF1を使用しています。
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