1-5テンション関係

テープを正確に走行させるためには適切なテンション(張力)が必要になってきます。
ここではデッキのテンション関係について書いています。


1、テイクアップ(巻き取り)テンション
これはテープをリ−ルが巻き取る際にテープにかかるテンションのことです。
テンションはテイクアップリールの巻取り力によって発生します。
このテンションが弱すぎるときれいに巻き取られず、故障などでまったくない場合には
当然テープが巻き取られずに走行不能になってしまいます。
逆に強すぎるとテープの速度が速くなったりテープがダメージを受けたりします。


2、バックテンション
テイクアップ側からテンションがかかっているのはテープの動きを見てもらうと
簡単にわかると思いますが、実際にはサプライ側からもテンションがかかっています。
これはテンションをかけることでテープをピンと張った状態にするためで、
その結果テープをヘッドにしっかりと正確に当てることができるようになります。

サプライ側のテンションが弱すぎるとテープが正常に走行させられず、
ヘッドタッチ(テープのヘッドあたり)が悪くなる原因になったりします。
逆に強すぎると、テープの速度が遅くなったりします。

バックテンションの機構
(1)パッド式
リール台にフェルト等のパッドを押し当ててテンションをかける簡単な機構です。
リール台のブレーキと大体同じようなものです。この方式の欠点は
単純にパッドによってテンションを掛ける方法なので、自動で調節がされないため、
テープの巻き始めと巻き終わりでテンションが変わってしまうということです。
これは巻き始めと巻き終わりでの巻き取る外周が変わってしまうからです。

(2)テンションサーボ
これは上記のパッド式にテンションサーボ機構を取り入れたものです。
テンションサーボ機構とはテープのテンションを感知して丁度いい
テンションに調整するものです。これだけだと電気的な機構に見えそうですが、
実際はテンションアームが加わっただけで、それほど複雑なものではありません。

(3)電子式サーボ
メカで検知していたサーボ機構を電子式に変えたもので、テープ回転センサなどで
感知したデータを基に、最適なテンションをサプライリールモータを使って
掛けるものです。このためこの方式が使えるのは両方のリール台が
独立して制御できる3モータ方式などの高級なメカに限られます。


  3、ヘッドタッチに関して
ヘッドにテープを押し付けるために、一般的にはカセットハーフに内蔵された
プレッシャーパッドが用いられます。パッドは薄い金属の板バネに取り付けられていて、
カセットのテープ露出部を見ればすぐに見つかると思います。

高級デッキに用いられるクローズドループデュアルキャプスタン方式は、
サプライ側のキャプスタンよりテイクアップ側のキャプスタンが
微妙に早く回転することで、テープにテンションを掛けています。
このためパッドの必要がなく、逆にパッドは変調雑音の原因になってしまうので
一部ですがパッドを押し上げてキャンセルする機構を持った高級機もありました。
 
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