1-1ドライブ方式
テープデッキはテープを走行させるためにモーターが使われています。
そのためモーターの動力を伝達する部分が必要になってきます。
これは差があるにしろどのデッキも共通のことで、経年でだめになるのは
この機構関係が多いです。ここではテープの定速走行に使われるキャプスタンや
リール台などのドライブ方式について書いています。
1、ベルトドライブ
その名のとおりベルトを使って動力を伝達する方式のことです。
主に古いデッキや中・低価格のデッキなどに採用されています。
モーターとプーリーの径を変えることで速度が調節できます。
利点としてはモーターを低速化せずに使用できることや、
コギング(モーターの速度のふらつき)がベルトによって吸収されるため、
テープのワウフラッターなどが少なくできることです。
しかしゴム素材は劣化しやすく、伸びたり硬くなったりしてしまい、
経年によるデッキの故障が発生しやすくなる原因になりやすいです。
2、ダイレクトドライブ
名前どおりモーターの出力をそのまま利用する方法です。
略してDDと表示されることもあり、高級機に使われることが多いです。
この方式の利点はゴムを使わないため長寿命が実現できることです。
その代わりにモーターの性能がそのままテープ走行の性能に直結するため、
高級機にはスムーズに回転する高性能モーターを組み合わせて使われたりします。
しかしコギングが多いモーターなど質の低いモーターを使った場合、
性能がベルトドライブに劣ることがあります。このことから、ダイレクトドライブを
導入せずベルトドライブを高級機にも搭載していたメーカーもありました。
3、ブラシレスダイレクトドライブ
テープデッキには古いデッキのACモータなどもありますが、
新しいものになるとDCモータが使われていることが多いです。
DCモータにも種類があり、一番一般的なものがブラシつきDCモータです。
これは幅広く使われている基本的なモータで、マブチモータなどが有名です。
このモータは単純な構造で、電源も直流を加えるだけでいいので、手軽です。
その反面コギングが大きかったりします。また構造上どうしても必要なブラシ
や整流子は、ローターが回転するごとに電気・機械ノイズが発生し、
ブラシ自体の接触が悪くなると寿命が尽きてしまいます(分解修理が完全に
不可能とはいいませんが)。このように性能を追求するには弱点があります。
そこで開発されたのがDCブラシレスモーターです。このモ−タは
DCと名前がつきますが、基本的にはACモータによく似ています。
このモーターには必ず付属の回路が必要で、その回路がステーターコイルを
使って回転磁界を発生させることでモータを駆動する仕組みになっています。
このモ−タ、コギングはステーターコイルの極数を増やすことで軽減され、
ブラシの悪影響からはほぼ完全に解放された優れたものです。
こうした性能の良さから新しいの高級デッキは大半がこのタイプを採用していました。
4、ギアドライブ
その名のとおりギヤを使って動力を伝達するもので、リール台の駆動に使われ、
キャプスタン用で使っていたことは私の知る限りなさそうです。
この方式はゴムを使っていないので信頼性は高いと思います。
壊れる可能性としては経年劣化が激しい材質だったり、異常が発生し、
強烈な力がかかる等実際はあんまり無いと思います。
5、アイドラドライブ
アイドラとは円盤の周りにゴムが巻かれたもので、自動車等のタイヤを想像してもらうと
いいと思います。この方式はモータの軸からアイドラを使って動力を伝達するものです。
主にリール台の駆動に使われ、キャプスタンの駆動に使っていたのは、
かなり古いデッキなどあまり目にすることはなく限られています。
ゴムを使っていることで想像できますが、これもゴムが劣化すると早送りが遅くなったり、
最終的にはリール台が回転しなくなってしまうことがあります。
この場合は劣化したゴム表面を削ると回復できることが多いです。
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